内容証明郵便の出し方・役割(後編)

内容証明郵便を出したい!

お金を貸した相手に返済を請求したい時や,契約を解除したい時などには,自分自身で書面を作成した書面を内容証明郵便にて出すことが出来ます。

前編では,内容証明郵便の持つ役割や書面の内容面についてお話しさせて頂きました。

後編では,いざ内容証明郵便を出す際に気を付けるべき点や,発送後の対応等についてお話しさせて頂きます。

1 内容証明郵便の形式

(1)文字・行数の制限

用紙や種類の大きさに特別決まりはありませんが,字数や行数に決まりがあります。

・縦書きの場合 1行20字以内,1枚26行以内

・横書きの場合 1行20字以内、1枚26行以内

  1行13字以内、1枚40行以内

  1行26字以内、1枚20行以内

であることが必要です。

(2)記載する項目

内容証明郵便の書き方は自由ですが,通常は以下の順番に記載されます。

ア 文書の表題

イ 通知内容

ウ 日付

エ 相手方の住所,氏名(相手方が法人の場合は住所,社名,代表取締役名)

オ 自社の住所,社名,代表取締役名

なお,内容証明郵便には,資料等を同封することはできません。そのため,資料を送りたい場合は別途普通郵便等で送ることが必要です。

2 内容証明郵便が戻ってきた際にすべきこと

内容証明郵便が何らかの理由により配達されずに,返送されてくることがあります。

返送理由として,(1)受取拒否・保管期間経過,(2)宛所に尋ね当たらず・転居先不明等の理由があります。

(1)受取り拒否・保管期間経過の場合

受け取り拒否・保管期間経過による返送の場合は,相手の住所に「特定記録郵便」により書面を発送しましょう。内容証明郵便が本人に直接手渡されるのに対し,「特定記録郵便」は,相手のポストに投函されるため,何も知らない相手がポストに届いた書面を受け取る可能性があります。

もっとも,特定記録郵便では,追跡番号により郵便が相手宅に届いたという記録は郵便局に証明してもらうことができますが,書面の内容は証明されません。そのため,特定記録郵便で書面を発送する際には,送付した書面のコピーを残しておきましょう。

(2)宛所に尋ね当たらず・転居先不明の場合

宛所に尋ね当たらず,転居先不明による返送の場合は,正しい住所を調べて,送付しなおすことが基本的な対応になります。

相手が個人の場合は,弁護士に調査を依頼することにより,現在の住民票上の住所を調べることが可能ですが,相手が法人の場合は,登記簿謄本やWEBサイトで現在の住所を調査することが必要です。また,法人の住所がわからなければ,登記簿謄本に表示されている社長の住所に内容証明郵便を送付することも可能です。

3 弁護士へ依頼するメリット

(1)法的なチェックを受けられる

内容証明郵便の中には,「法律上の手続きが正しく行われたことを後日証明できるようにする」目的で送付するものがあります。

例えば,契約を解除するためには,「催告」してから「解除」するという法的な手続きを経る必要があるため,催告や解除の通知を相手が受領したことを後日証明できるようにしておく必要があります。

そうすると,当然,法律上の手続きに沿った正しい内容で送付することが必要となりますが,内容証明郵便を弁護士に依頼することにより,法律上必要な手続きを正しく行うことができるというメリットがあります。

(2)相手により大きな心理的圧迫を加えることができる

支払いの督促を目的に送付する内容証明郵便については,内容証明郵便を出そう(前編)でお話ししました通り,「請求に応じない相手に心理的圧迫を加え,支払いを得る」ことを目的に内容証明郵便が利用されることもありあます。

自身の名義で内容証明郵便を作成して送付しても,相手にプレッシャーを加えて支払いを促す効果をほとんど期待できない場合,弁護士に依頼して弁護士名義で内容証明郵便を送付することができます。そうすると,「請求に応じない場合には法的な措置をとる」という記載が現実味をもつことになり,相手方に心理的圧迫を加え,債権回収を実現することができます。

そのため,弁護士に依頼することで,「債権回収を実現しやすくなる」というメリットがあります。

また,内容証明郵便を弁護士名義で発送する場合は,弁護士名と弁護士事務所の電話番号を内容証明郵便に記載し,「以後の連絡については弁護士宛てにしてください」と明記することが通常であるため,相手への対応をすべて弁護士にまかせることができます。その場合,交渉のプロである弁護士に交渉を任せることで,相手方とのトラブルの解決を自身に有利に進めることができるというメリットがあります。

4 まとめ

内容証明郵便のメリットとデメリットを踏まえ,用途に応じて利用できるといいでしょう。

当事務所では,ご自身名義で弁護士が内容証明郵便の書面を作成する際は5万円~(税別),弁護士名義による場合は10万円~(税別)承っております。

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