婚前契約書の作成(後半)

婚前契約書の作成(後半)では,契約書に記載できる条項の具体的内容についてお伝えさせていただきます。

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4 契約書の具体例

それでは,そのように契約書を作成していくのでしょうか。以下具体例を紹介しておきます。

(1)家事や仕事の役割

 ○条 家事の分担

 夫は毎週火・木のゴミ出しを担当し,食事は妻が毎食用意するものとする。

ただし,週に一度は2人で外食をする。

 ○条 出産後の仕事について

   妻は子どもが満2歳になるまでは育児に専念するものとする。出産後,妻が職場復帰する際には,育児・家事の両方にわたり,夫と公平に分担するものとする。 

(2)お金に関わる約束

 ○条 家計に入れる金額

  夫婦はそれぞれ収入の50パーセントを家計に入れ,その合計額で家計を運営していくものとする。

 ○条 お小遣いの額

  毎月のお小遣いは夫○円,妻○円とする。ただし,収入その他の状況の変化により,協議によって金額を変更することが出来る。

 ○条 別居の場合の生活費の負担

  万が一,別居に至った場合には,婚姻費用はそれぞれ等しい割合で分担する。

 ○条 死後の財産分与

  いずれかの死によって,婚姻関係が解消される場合は,共有財産の2分の1を相手方に分与する。

(3)第三者に関わる約束

 ○条 親との同居

  夫と妻は,原則として,お互いの親との同居はしないことにする。ただし,万が一必要になった場合には,改めて協議する。

 ○条 双方との親戚づきあい

  原則として,毎年正月休みは夫の実家で過ごし,盆休みは妻の実家で過ごすこととする。ただし,必要に応じて協議する。

 ○条 親の介護

  自分の親は自分の身内で面倒を見ることとし,相手方に世話をさせない。万が一親の介護などで相手方に負担をかけるときは,その苦労を労うこととする。

(4)違約金やペナルティーを課す

 ○条 プライバシーの侵害に対する罰則

  夫及び妻は,一方の許可なくして,一方の携帯電話やパソコンのメールを見てはならない。これに違反した場合には,○ヶ月分の小遣いをカットされることに同意する。

 ○条 浮気の違約金

  1 夫及び妻は,浮気又は浮気と判断される振る舞いをしない。一方に疑わしい行為があった場合には,その一方は,相手方に説明する義務を負う。

  2 一方の浮気が発覚した場合には,その一方は,慰謝料○円を相手方に支払うこととする。

5 公正証書にする場合

  婚前契約書を公正証書にするには,まず原案を公証役場に持参し,法律の専門家である公証人に公文書化してもらいます。費用については,財産についての取り決めを含めなければ,1万3000円,財産についての取り決めを含むなら,その金額に応じて+αが加算されます。

 公正証書は公証役場に20年間保管されます。

6 夫婦財産契約書にする場合

  夫婦財産契約書は,法務局の登記所で登記する必要があります。登記とは,権利や所有者のありかを国が管理する帳簿や台帳に記載することです。婚姻後,夫の姓を名乗る場合には,夫となる人の住所地(妻となる人の姓を名乗る場合には,妻となる人の住所地)を管轄する登記所に行き,手続きをします。費用(登録免許)として,1万8000円がかかります。

登記された契約書は,閉鎖の手続きをしない限り,永久保存されます。

7 契約内容を変更したくなったら

  結婚後,2人を取り巻く環境や社会も常に変化することで,当初思い描いて いた結婚の理想と現実がかけ離れ,契約内容が実現不可能になっていたという事があり得ます。そのような場合には,新たな項目を追加したり,内容の修正をしたいという場合もあるでしょう。夫婦財産契約以外の婚前契約は,2人の了解があれば,いつでもその内容を変更することが出来ます。

(1)新たな項目を追加したいとき

  別紙を用意し,冒頭に「夫○○と妻△△は,新たに次の項目について契約を 締結する」と書いた上で,新たに加えたい内容を箇条書きにします。

  最後に追加した日付を記入し,2人の署名と捺印をします。

(2)内容を修正したいとき

  文章中の一部を修正したいときは,その部分を二本線で消し,その上部に修 正したい文字を加えた上で,下部に2人の訂正印を押します。

  ある項目だけを全てなくしたい場合には,その項目の近くの欄外に,「第○条全文削除」と書き加え,2人の訂正印を押します。

(3)注意点

  結婚後に内容を変更したり追加したりした場合,夫婦契約取消権の対象となり,いつでも一方の意思で契約を取り消すことが可能になります。重要な項目を結婚後に思い出して追加するということのないよう,婚前の話合いはしっかり行ってください。

(4)公正証書の場合

  公正証書の変更は,作成時と同じ手順,手続きを踏まなければならず,手数料も作成時と同じだけかかります。

8 契約を取り消すには

(1)夫婦財産契約以外の婚前契約書について

  私的に作成した契約書については,当事者同士の話し合いで解除できます。後々問題になりそうなのであれば,解除する旨の内容を契約書で残しておくのもいいでしょう。

  今ある契約書を解除して,新たな契約書を作成するときは,「○月○日に解除 した」旨と,「本契約書をもってこれに代える」などの一文を新たな契約書に入れておきます。

(2)公正証書の場合

  公正証書にしたものを解除する手続きは特に存在しません。公正証書にした 場合も当事者間で解除する旨の合意書を交わせば足ります。

(3)夫婦財産契約書

  夫婦財産契約書は,「閉鎖」の手続きをします。夫婦財産契約は一度閉鎖すると2度と再開できず,改めて別の夫婦財産契約を結びなおすこともできません。閉鎖する場合は,くれぐれも慎重に行ってください。

9 まとめ

婚前契約書は,内容面から形式面まで検討する事項は多岐に渡ります。お二人の目的に沿った,オーダーメイドの婚前契約書を作成するためにも,弁護士と相談しながら作成されることをお勧めします。

10 婚前契約書作成費用

婚前契約書作成費用は,108,000円(税込み)となっております。

上記料金には,面談費用,打合せ費用,修正1回(以後5400円/1回)が含まれております。

なお,公正証書にする際には,別途費用が発生します。

詳細につきましては,当事務所までお問合せ下さい。