子どもとの面会交流

 

本日は,面会交流についてお話させて頂きます。

1 面会交流とは

 面会交流とは,離婚後又は別居中に子どもを養育・監護していない方の親が子どもと面会等を行うことです。

 面会交流の具体的な内容や方法については,まずは父母が話し合って決めることになりますが,話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には,家庭裁判所に調停又は審判の申立てをして,面会交流に関する取り決めを求めることができます。調停手続を利用する場合には,子の監護に関する処分(面会交流)調停事件として申立てをします。この手続は,離婚前であっても,両親が別居中で子どもとの面会交流についての話合いがまとまらない場合にも利用することができます。

 

2 どのようにして決められるか 

子どもとの面会交流は,子どもの健全な成長を助けるようなものである必要があるので,調停手続では,子どもの年齢,性別,性格,就学の有無,生活のリズム,生活環境等を考えて,子どもに精神的な負担をかけることのないように十分配慮して,子どもの意向を尊重した取決めができるように,話合いが進められます。また,面会交流の取決めに際しては,面会等を行う際に父母が注意する必要のある事項について裁判所側から助言したりします。

 なお,話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には審判手続が開始され,裁判官が,一切の事情を考慮して,審判をすることになります。

 

3 面会交流の法的性質

 東京家審昭39.12.14では,「親権若しくは監護権を有しない親は,未成熟子と面接ないし交渉する権利を有し,この権利は,未成熟子の福祉を害することがない限り,制限されまたは奪われることはない」と判示しています。そして,その後も面会交流を権利として認める裁判例や,それを前提とした裁判例が続いており,面会交流は監護権を有しない親の権利として認められています。

 

4 面会交流が認められない場合

面会交流は監護権を有しない親の権利ですが,面会交流を認めることが「子どもの福祉」に合致しないと裁判官が判断した場合,面会交流が認められないことになります。以下,子を監護している親を「監護者」,子を監護していない親を「非監護者」といいます。

 

裁判官は,「子どもの福祉」を判断する際に(1)子どもに関する要素(子どもの意見,子どもの生活環境におよぼす影響),(2)監護者に関する要素(監護者の意見,監護者の養育監護に対する影響),(3)非監護者に関する要素(非監護者の問題点),(4)夫婦の関係に関する要素(別居・離婚に至った経緯,別居・離婚後の関係)等を考慮して,面会交流の可否およびその方法等について判断をすることになります。

(1)子どもに関する要素

ア 子どもの意見について

子どもがある程度の年齢に達している場合(特に15歳以上の場合)や子どもが15歳未満であっても,監護者の影響を受けずに子どもが自分の意見をしっかりと述べることができる場合は,裁判所は子どもの意見を重要視する傾向があります。そのため,子どもが明確に面会交流を拒否している場合には,面会交流が認められないケースもあります。

イ 子どもの生活環境におよぼす影響について

子どもが両親の離婚問題の影響で家庭内暴力をふるっていたり,不登校になった場合,面会交流を認めることで,子どもの生活環境への悪影響が懸念されるために,面会交流が認められない可能性もあります。

(2)監護者に関する要素

ア 監護者の意見

子どもが乳幼児の場合,面会交流を実現するためには,監護者の協力が必要不可欠になります。しかし,監護者が,別居や離婚に至った経緯から,面会交流に消極的である場合には,面会交流を認めることが子どもの精神的安定に多大な悪影響をおよぼす可能性があるため,面会交流が認められない場合もあります。

イ 監護者の養育監護に対する影響

監護者の監護方針に不満を抱いている非監護者に面会交流を認めた場合,非監護者が監護者を不当に非難したり,監護方針に干渉したり,監護者と子どもの安定した関係を阻害するおそれがあります。その場合,子どもが精神的に混乱し,監護者との信頼関係が破壊されてしまう可能性があるため,面会交流が認められないこともあります。

(3)非監護者に関する要素(非監護者の問題点)

非監護者に薬物使用の疑いがある場合や,子どもを連れ去る危険性が高い等,非監護者に問題行為・違法行為が存在する場合,面会交流を認めることによって,子どもに重大な危害が加えられる可能性があるため,面会交流が認められない場合があります。

(4)夫婦の関係に関する要素

ア 別居・離婚に至った経緯

別居・離婚に至って経緯が,非監護者の監護者や子どもに対する暴力である場合,別

 居・離婚後も,監護者や子どもが非監護者に対して強い恐怖心を抱いている可能性があるため,面会交流が認められない場合があります。

イ 別居・離婚後の関係

別居・離婚の経緯が,別居・離婚後においても尾を引いている場合には,面会交流を 

 認めると精神的負担から子どもの健康状態を損なう可能性があるため,面会交流が認められない場合があります。

5 面会交流をさせてもらえなくなった場合

面会交流について,途中まではできていたのに,できなくなってしまった場合,具体的な方法としては,(1)履行勧告,(2)間接強制,(3)面会交流調停等で新たな取り決  めをすることが考えられます。

(1)履行勧告

履行勧告とは,調停が成立してもその内容が実現されなくなった場合,つまり,義務      

不履行の場合に,裁判所が義務者に対して調停等で合意した内容をきちんと履行するように勧告することです。しかし,この履行勧告には強制力はありません。

(2)間接強制について

間接強制とは,義務者に対して,調停条項等で定められた義務を一定の時期まで履行することを命令し,命令に従わなければ,金銭の支払いを命じることです。

ただし,この間接強制についても,あくまで任意の履行を促すものであり,①で説明  

した履行勧告と同様に強制力はありません。また,この間接強制ができるかどうかは,調停条項がどのようなものになっているかにより,間接強制がとれる条項ととれない条項があります。

(3)面会交流調停等で新たな取り決めをする

最初は面会交流が実施されていたのに途中から実施されなくなってしまった場合,面会交流を実施する中で何らかの問題が生じている可能性があります。

この問題について,当事者間で話し合っても解決しなかった場合,新たな取り決めが必要になってくるかと思います。新たな取り決めの方法として,調停の申立てをするという手段も考えられます。

 

6 まとめ

 監護者が面会交流をさせてくれない場合,強制執行だけに頼らず粘り強く交渉を続けるなどの方法も併用しながら上手に話を進める必要があります。このような手続きの方法でお悩みになった際は,弁護士の力を借りることをお勧めします。